キャンプとSDGs

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で全会一致で採択された「2030年までの達成をめざす17の国際目標」です。先日2023年9月18日、国連のグテーレス事務総長は、「目標の15%しか達成できておらず、多くは逆行している」と述べ、新型コロナの感染拡大の影響やロシアによるウクライナ侵攻などを背景に、2030年までの目標の達成が危機的状況にあるという認識を示しました。

今の子どもたちは、学校で日頃からSDGsについてよく学び、自分事として捉えているように思います。大人よりも詳しい!なんてことも。筆者も、子どもに質問されても、ちゃんと答えられないことがしばしばありましたが、一緒に調べたり、本を読んだりしているうちに、ひとりひとりが身近な暮らしの中で積み重ねる小さな選択と実践が、大きな変化を生むことができると知りました。

 筆者は、釣りとキャンプが大好きなのですが、自然に親しむキャンプ活動を通じてSDGs達成に貢献できることがいくつかあるなと思いましたので、ご紹介したいと思います。 

 

キャンプでの取り組みでサポートできるSDGsの目標

SDGsの17の目標の中から、キャンプ活動と関連が深いものをあげてみます。

【目標2】飢餓をゼロに

飢餓を終わらせるためには、環境破壊をやめ、農業や漁業を続けられる仕組みが大切です。食材を買う時、農薬や化学肥料を使わずに育った野菜を選んで購入する、地産地消の食材を購入する、なども持続可能な農業・漁業を応援することに繋がります。


有機栽培の野菜とお米【オーガニック農尊】さんの記事 取扱店舗ご紹介!三重県・名張市「オーガニック農尊」 (shopifypreview.com)

【目標4】質の高い教育をみんなに

大自然の中でいろいろな動植物に触れる中で、生き物はみんなそれぞれ一生懸命生きていて、持ちつ持たれつの関係であることを五感で感じます。魚を釣るとは、命を頂くこと。自分でさばいて美味しく調理し、最後まで食べます。

 

 

 

 

 

 

 

 

【目標5】ジェンダー平等を実現しよう

「女の子」「男の子」という性別的役割や先入観にとらわれず、自分が好きなことに夢中になり挑戦してほしいと思っています。子どもたちと一緒に、テント設営、薪割り、火起こし、炊事、片付け、なんでもやってみよう!とチャレンジ。初めてのことも率先してチャレンジし、仲間と協力することで、ますます充実した楽しい時間になります。


【目標6】安全な水とトイレを世界中に

キャンプ場によっては、テントサイトと炊事場が離れていることもあります。地球上には、頭に水瓶を乗せて何時間もかけて水汲みに行く国や地域もある中で、蛇口をひねればすぐにキレイな水が出る環境にあることのありがたさに改めて気づきます。水汲みや食器洗いのために何度も炊事場とサイトを往復するのは面倒なので、ウォータージャグの水は節水しながら使い、まな板で食材を切る順番は野菜から、汚れた食器はあらかじめボロ布やペーパーでぬぐってから洗います。


【目標7】エネルギーをみんなに そしてクリーンに

電気は石油や石炭といった化石燃料を燃やすことによって作られます。しかし、大量の化石燃料を燃やした結果、二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスが増え、地球温暖化の要因となっています。我が家は、ランタンは「キャリー・ザ・サン」という太陽光電池ランタンをメインに使い、充電式や乾電池式は予備として使っています。暖や明かりを取る焚き火は、キャンプ場で販売されている間伐材の薪を購入します。また、籾殻からできた「モミガライト」は備長炭のように火持ちが良いのが特徴です。石川県の小松大谷高等学校の有志の皆さんが作る「籾殻ペレット」もおすすめ。なお、こちらの籾殻ペレットの売上は、地元の子ども食堂に寄付されているそうです。


【目標11】住み続けられるまちづくりを

アウトドア施設は自然の豊かな場所にあることが多いです。道の駅などで地元の旬の食材を購入するのも楽しみの一つ。春は山菜を購入して天ぷらにしたり、海辺では捕れたての魚介をバーベキューにし、山では鹿肉をダッチオーブンでコトコト煮込んでシチューに。訪れた土地の歴史や文化を知り、観光することで、地域コミュニティの経済活動に微力ながら貢献できます。

【目標12】つくる責任、つかう責任

これからも美しい自然の中でキャンプを楽しみたいので、自然への負荷を最小限に抑えたサスティナブルなキャンプギアをなるべく選び、支援も兼ねて経営理念にも共感したアウトドアメーカーからなるべく購入するようにしています。ゴミ持ち帰りがルールのキャンプ場もありますので、食べ切れる量だけを買い、なるべく食品ロスなどのゴミを出さないようにします。

Rice Husk Silica Japanのカトラリーとマグカップは、籾殻を由来とした原料を一部使ってプラスチック原料の使用量を抑えています。軽量で壊れにくく、着色せずに自然原料由来の自然な色合いでキャンプサイトにも馴染みます。



また、レジ袋のかわりに京都・山田繊維様の「風呂敷」を日頃から長年愛用しています。古典柄やモダンな柄など美しいテキスタイルを展開しておられます。キャンプ場から近くの温泉に行く時に着替えを包んだり、レジャーシートや、日避け、ひざ掛けにしたり、アウトドアテーブルの上に広げて、テーブルクロスにすることも。などあらゆる用途に使いまわしできるのでとても便利です。


【目標13】 気候変動に具体的な対策を

暑い時期のキャンプは正直身体に堪えます。これ以上暑くなると、ますます台風や洪水など自然災害が増え、感染症が流行し、たくさんの動物や人が命を落としてしまうかもしれません。家庭においても、クーラーなどの空調に使う電気代も値上がりしています。地球にも、家計にもプラスになるように、日頃からなるべく節電を。

【目標14】海の豊かさを守ろう

魚介が大好物で、釣りも大好きな我が家。しかし、プラスチックゴミによる海洋汚染で、景観の問題だけでなく、魚たちの体内に入ったプラスチックゴミの破片が、回り回って人間の体内に取り込まれるなど悪影響があるとのこと。美味しいお魚が安心して食べられなくなったら非常に困ります。ゴミはゴミ箱に捨ててリサイクルに回すのは当然のこと。海辺に訪れた時は必ず目につくゴミを拾います。

【目標15】陸の豊かさも守ろう

過剰な森林伐採や、逆に、里山では人の手が適切に入らずに荒れてしまう森もあります。先に述べたように、暖や明かりを取る焚き火は、キャンプ場で販売されている間伐材の薪を購入します。

 


自然は祖先から譲り受けたものではなく、
子孫から借りているのだ。
~インディアン・ナバホ族の言葉。

先祖から譲り受けた、自分へのギフトではなく、
自分の子どもや未来の子孫から、ひとときお借りしているもの。
なるほど。粗末に扱わず、大切にお返ししないと。

 

キャンプなどアウトドア活動は、子どもから大人までSDGsを体感しながら学び、肩肘張らずに実践できる場です。
2030年、今の子どもたちが大人になり、社会の主役となって活躍する頃に、少しでも居心地のよい地球が残せるように、今一度、身近なところから、SDGs貢献に、取り組んでみませんか?